• TOP
  • Discover Nippon
  • 熊本のセレクトショップオーナー「松村由紀」さんが人気インスタグラマーになるまでの道のり

熊本のセレクトショップオーナー「松村由紀」さんが人気インスタグラマーになるまでの道のり

2017.06.09 Discover Nippon 稲積清子 & 松永育美

その愛くるしいくったくのない笑顔に、きっとみんなが恋に落ちるのかもしれない。熊本の人気セレクトショップ「Ecru et pousse(エクリュ エ プゥス)」のオーナー・松村由紀さんは、そんな魅力を持った女性。
お店があるのは、熊本市北区の住宅街。同じ北区に住む住民でさえ、気づかない人もいるほど、どちらかというとひっそり、そこにある。

看板だけみても何のお店なのか分かりにくいが、独特の空気感が漂っていることは確か。そして中へ一歩入ると、あの「ミナペルホネン」や「オールドマンズテーラー」といった人気ファッションブランドをはじめ、雑貨、地元作家のアクセサリー、曜日限定の手づくりパンなどが並び、目移りするほど、きらきらに満ちている。その置かれたアイテムの一つひとつが、由紀さんの愛するものばかりだ。

エクリュをはじめるきっかけは、離婚という人生の大きな転機だったそうだ。「結婚前は歯科衛生士の仕事をしていましたので、しばらく近所の歯医者さんで働きましたが、なにかが違うなあって。もともと、自分の店を持つことが昔からの夢だったし、子どもがまだ小さかったので、わがままだけど、自分のペースで出来る仕事、自営業がいいかもしれないって思ったんです」。

「専業主婦だったころ、大好きでよく通っていたカフェがありました。そのお店が季節の催事で忙しいときや、デパートに出店する際に、お手伝いをしていたことがあって。そうするうちに、転機があり…。ぼんやりとお店を始めようかなと考えていたタイミングで、そのカフェのオーナーさんから、『うちの店舗で、お店をやってみない?』とお誘いいただいて。カフェの道向かいに古道具を扱う倉庫のような店舗があって、その半分のスペースを間借りして、お店をはじめることになりました」。

思わぬ形で夢の扉が開くが、最初は取引先を見つけるのもひと苦労。「私はアパレル出身ではありませんので、どうやって交渉すればいいのかが分からない(苦笑)。手探りのまま、ひとまず自分が気に入って使っていたアイテムのタグだけを頼りに、ドキドキしながら電話してみるんですけど。はじめに連絡したリネンメーカーさんは、あっさりNG。すごく落ち込みましたね」。
一度断られると、次のところへ電話をかける勇気が湧いてこない。「それでも思い切って、二軒目のところへ電話して、精いっぱい思いのたけをぶつけました。しばらくして、まさかのOK。それが、今でも取引きのある『オールドマンズテーラー』さん。とにかくうれしくて、うれしくて」。
※下記で着用しているワンピースは同ブランドのもの

そこから一年ほどして、間借りしていた店が駐車場スペースに変わるという理由から、移転を余儀なくされる。
「次のお店をどうしようかな、と考えていたとき、いつも通っていた道沿いにすっごく気になる建物があって。それが、今のお店なんですけどね(笑)。2階建てだし、きっと家賃も高いだろうなと思って、ずっと不動産に連絡することができなくて。他をあたってみたんですけど、なかなか気に入るところが見つかりませんでした。こうなったらと、ダメ元で問い合わせてみたら…。まさかの交渉成立!ラッキーでした」。

移転から2年ほどして、またしても奇跡的に「ミナペルホネン」の取り扱いがスタートする。夢に描いていた“自分のお店”が、夢以上の世界へ広がっていったのだ。

今、由紀さんには、お店を裏方としてサポートしてくれる真吾さんという心強い支えがある。
「彼女は、どんなお客様に対しても常に平等に、接することができる人です。疲れているときもきっとあると思うんですけど、そんな表情はみじんも見せず、いつもニコニコとお店に立っているからすごいなあって。彼女の接客は、生まれながらにもっている才能なんでしょうね」と真吾さん。

昨年4月、熊本を大地震が襲った。その影響でエクリュは2カ月もの間、休業へと追い込まれることになった。「私もそうでしたが、地震のあとは、日々の洋服どころではなくなりました。スカートもはきたくなかったし…。洋服を扱う店をやっていくのは、もう無理なのかもなって」。

とはいえ、取引先への支払いは当然のようにやってくる。「好きな商品が、このまま店に残されているのはかわいそうな気がして…。大事につかってくださる方のところへ行ってもらえたらと、初めてセールをやりました。そしたら、想像以上に全国の方からの反響がスゴくて!」。
余震が続く中、真吾さんと二人でオンラインの問い合わせに対応し、発送作業に追われる日々。東北などの被災地からも激励の声がたくさん届いたそうだ。「必ず復興の日が来ますから、と言っていただいたときは涙がでるほどうれしかったです」。

地震直後、ファッションどころではなかった地元・熊本の人たちも、次第に「今を楽しむために、好きなものにお金を使いたい」と、お店へ顔を出してくれるようになった。
そして由紀さん自身、以前にも増して、物づくりに関わる人たちの思いをもっともっと伝えていきたいと気持ちが変化したそうだ。「小さいお店だけど、ここには私の大好きなものがいっぱい!それを私というフィルターを通して、たくさんの方々へ精いっぱい紹介していきたいんです。それが広がっていく場になればいいなと思っています」。

40代とは思えないほど、若々しくて、いつもキュート。美についてのこだわりをたずねてみると、「シミができやすい肌質なので、基礎化粧品にはこだわっています」との回答。いま使っているものは、「エンビロン」というスキンケアシリーズで、2年ほど前、コンプレックスだった顔のシミを皮膚科でとってもらったとき、その先生に勧められたものだという。使い始めて約半年。周りから「色が白くなったね」「しわが減った!?」とうれしい声も聞かれるそうだ。
「ていねいにスキンケアをおこなうこと、そして日焼け止めクリームを朝しっかり塗ること。あ、あと、美肌効果のある豚肉も毎日食べていますよ!」。

それからもう一つ。トレードマークである、ふわふわしたロングヘアのお手入れにもこだわりがあるようだ。
「もともと私の髪質は、固くて、太くて、量も多いんです。髪を洗うときは、まずお湯をたっぷり髪に含ませ、洗い流したあとシャンプーします。乾かすときは、美容室でもよく見かける、ウェーブをいかす効果のあるドライヤーを使用しています。髪が傷まないように、しっかり乾かすのがポイント」。ふわふわした髪は、日頃のお手入れのたまものというわけだ。

インスタグラムのフォロワー数は、3万人超え。「由紀さんに会いたくて」と、わざわざ県外から訪れるお客さんも少なくないという。写真で見たままの愛くるしい人。透明感があって、やわらかい雰囲気だけど、夢に向かって進んでいく力強さも秘めている。
エクリュの店先に、彼女のはにかんだ笑顔がこぼれるとき、そこからさらに笑顔の輪が広がっていく。

<問い合わせ>
Ecru et pousse(エクリュ エ プゥス)
住所/熊本市北区打越町40-61
電話/096-288-3321
営業時間/11:00~17:00
定休日/日曜日、水曜日、他不定あり
URL/http://www.ecru-et-pousse.com/

編集・文/稲積清子 いなづみ せいこ
熊本在住のライター・編集者。熊本の出版社でフリーペーパーや家族向け情報誌の編集長を経験したのち、福岡でブライダル情報誌・子育て情報誌・週刊紙などの制作に関わる。2012年5月より故郷・熊本でフリーランスとして独立。幅広いジャンルの編集に関わりながら、熊本地震以降、復興支援ホームページサイト「いまできること」の執筆に携わり、復興から立ち上がる熊本のいまを全国に向けて発信中。好きな言葉は「日日是好日」。

写真/松永育美 まつなが いくみ
熊本在住のフォトグラファー。デザインの専門学校卒業後、写真事務所を経て、2014年独立。広告、雑誌の撮影から記念写真、家族写真など幅広く活動。ライフワークとして花の写真を撮影し続けている。プライベートでは、昨年、母になり子育て奮闘中。妊娠中に経験した熊本地震で、生きていることの尊さを実感。趣味は旅行と映画。熊本生まれ熊本育ち。熊本が大好き。みんながHAPPYになる写真を撮りたいと願い、活動している。

この記事に関連するキーワード:セレクトショップ熊本稲積清子美肌美髪

RECOMMEND今週の人気記事