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熊本発「あいがもん倶楽部」が作る「米ぬかふりかけ」が美容に良いと注目される理由

2017.06.02 Discover Nippon 稲積清子 & 松永育美

熊本市内から北へ車を走らせること約1時間半。のどかな田園風景が広がる山鹿市菊鹿町(やまがしきくかまち)の山あい、高齢者が多く暮らすこの地域で、農業をするために東京から移り住んだという市原奈穂子さんを訪ねた。

「なにも無いところでしょう」と出迎えてくれた彼女の言葉通り、近くにはコンビニエンスストアもなく、車の通りも少ない静かな場所。大都会の東京を離れ、なぜこの菊鹿町へやってきたのだろうか。

「結婚を機に山鹿へ来ましたが、主人は東京の食品メーカーに勤めるサラリーマンでした。でも、出会ったころから将来は農業をやりたいという夢を持っていたんです。当時私は、病院勤務の管理栄養士で、病気の患者さんのために食事を作るのが仕事。だけど、病気が治っていく患者さんの姿を目にすることはなくて。『この仕事をこのまま続けていくのかな?』『私の夢って何だろう?』と、悶々としていました」。
そして、「患者さんのための食」から、「病気にならないための食」というものに興味を抱くようになり、農業体験に出かけることもあったそう。ちょうどその頃、農業を志していたご主人と運命的に出会い、結婚。その後、山鹿へ移り住むことに。

2012年の春からご主人の地元で農業をすることになった二人だったが、もともと農家の生まれではなかったそうだ。所有する土地はもちろん、農機具もなく、農家としての基盤がないところからのスタート。
「主人の父が、物産館などの設計をしている人だったんですが、そこで農産物を加工しているおばあちゃんたちと出会い、それがきっかけで業務用アイスの会社を立ち上げることになって。会社は今年で20年目になりますが、紆余曲折ある中で、ゆくゆくは農業に関わりたいと考えていたそうです。そんな義父と、『農業をやりたい』という主人の気持ちが重なって、今にいたります」。

市原さん夫婦がまだ東京暮らしの頃、菊鹿町の農家さんと交流を図りながら、土台を築いてくれていたのが夫・伸生(のぶき)さんの父。合鴨農法で米を育てている農家さんと一緒に「あいがもん倶楽部」というグループを立ち上げ、その代表を自ら務めていたそうだ。
その繋がりをきっかけに、夫婦は山鹿市へ移り住み、同時にその農家さん達の下で、農家修業をスタートさせる。

「新規就農者って、一般的には負担が少ない野菜作りからスタートする人が多いようなんです。でも私たちは、いきなりお米作りからの出発(苦笑)。でもこれも父がご縁をつないでくれたおかげですからね。必死でがんばりました」。
こうして「あいがもん倶楽部」の農家さんたちの手伝いをしながら、1年目は一反(約1000㎡)の田んぼで完全無農薬の米を育てながら、同時に栗も栽培。4年目から、地元のブランドワインである「菊鹿ワイン」の原料となるシャルドネの栽培もスタート。

「農業を始めて6年目。農家として地に足が着いたなあと感じるようになったのは、去年ぐらいから。それまでは隣町に住んでいましたし、田んぼのある菊鹿へ通う生活。どこか農業者ぶっていた気がします」。

昨年、一町(約10,000㎡)もの田んぼを譲り受けることになり、一気に農地が拡大。自分たちの田んぼで、ようやく合鴨米を育て始め、菊鹿町へ移り住んだのも昨年から。
「あいがもん倶楽部のメンバーとして、合鴨米の普及活動は3年前からおこなっていましたが、自分たちで合鴨米を育てるようになって、やっとPR活動に自信が持てるようになりました。お米のパワーがあきらかに違うなって」。買ってくれる人の顔を思い浮かべながら、手塩にかけて育てたお米を食べる瞬間は、ひと噛みひと噛みが、特別なのだそう。

4歳の聡祐(そうすけ)くん、1歳の早紗(ささ)ちゃん、夫・伸生さんの4人で暮らす家は、10年ものあいだ空き家だった古民家。玄関の靴箱に色を塗ったり、壁に引き出しを取りつけ、本棚にしたりと、DIYで自分たち好みの空間に仕上げながら暮らしている。
また、広々とした敷地には、梅や柿、キウイの木もあり、四季折々の表情を持つ豊かな庭は、子どもたちの格好の遊び場でもある。

「近所には大型のスーパーなどもないですから。食周りのものは基本、手作りするように心がけています。庭で育った梅で、梅酒やシロップを作ったり、今年は味噌と、しょう油づくりにも挑戦したり。東京のときとは暮らしも一変。菊鹿での暮らしは、とにかく心地がいいですね!」と奈穂子さん。ご近所のおばあちゃんが、育てた野菜をおすそ分けしてくれることもあり、田舎暮らしの楽しみはつきないようだ。

合鴨米普及のために始めたイベント出店や、ホームページ上のオンラインストアでは、奈穂子さんが作る加工品の販売が人気だ。自家製玄米や米ぬかを使ったグラノーラやビスコッティなどのお菓子のほか、市原家の食卓でも好評の「米ぬかふりかけ」など、美容にも効果がある食材ばかりだ。

早速、米ぬかふりかけの作り方を教わってみると、「うちのお米は無農薬で育てていますので、市販の米ぬかを手に入れるときは、できるだけ農薬を使っていないものを選んでくださいね。その米ぬかを、直接フライパンにいれ、茶色になるまで炒ります。油も使いませんので、ヘルシーですよ。そして炒ったあと、容器に移し、塩を少々。そこに香りがあるような食材(この日は、ごま、海苔、かつおぶし、いりこ、青のり)をお好みの分量加えて、混ぜるだけ。とっても簡単だし、子どもと一緒に作れるのでママたちにもおすすめです」。

米ぬかはビタミンB・Eやアミノ酸などの栄養素が豊富で、肌の老化防止や美白効果に効果テキメン。昔から、女性たちが米ぬか石けんとしても活用してきており、食べるとなおさら美肌効果に期待がもてそう。

普段、炎天下のなかで農作業をおこなうことの多い奈穂子さんだが、シミ対策の日焼け止めはもちろん、疲れをとるために甘酒やトマトを普段の食生活に取り入れているそうだ。「甘酒を飲むことで、翌日に疲れが残らない気がします。腸内環境も整いますし、吹き出ものが出なくなりました」。手作りの米ぬかふりかけや、梅シロップ、そして、甘酒など、普段から心掛けている食生活が、自然と美容効果をアップさせている様子。

熊本で農業をはじめて6年目。子育てと慣れない農作業との両立で、大変なことも多かっただろう。だが、彼女の口からは「菊鹿での暮らしは、ノンストレスで楽しい!」という前向きな言葉が聞かれた。
自分たちで育てた完全無農薬の米を食べ、季節の実りを日々の食に活かし、菊鹿町に根ざしながら暮らす奈穂子さん。ご主人の夢に寄り添いながらも、母親として、そして一人の女性として、生きがいを持って暮らしているその姿は、自然体のうつくしさに満ちていた。

<問い合わせ>
あいがもん倶楽部
URL/https://www.aigamon.com/

編集・文/稲積清子 いなづみ せいこ
熊本在住のライター・編集者。熊本の出版社でフリーペーパーや家族向け情報誌の編集長を経験したのち、福岡でブライダル情報誌・子育て情報誌・週刊紙などの制作に関わる。2012年5月より故郷・熊本でフリーランスとして独立。幅広いジャンルの編集に関わりながら、熊本地震以降、復興支援ホームページサイト「いまできること」の執筆に携わり、復興から立ち上がる熊本のいまを全国に向けて発信中。好きな言葉は「日日是好日」。

写真/松永育美 まつなが いくみ
熊本在住のフォトグラファー。デザインの専門学校卒業後、写真事務所を経て、2014年独立。広告、雑誌の撮影から記念写真、家族写真など幅広く活動。ライフワークとして花の写真を撮影し続けている。プライベートでは、昨年、母になり子育て奮闘中。妊娠中に経験した熊本地震で、生きていることの尊さを実感。趣味は旅行と映画。熊本生まれ熊本育ち。熊本が大好き。みんながHAPPYになる写真を撮りたいと願い、活動している。

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