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熊本を旅するときに訪れたい、美的感度を刺激するカフェ3選

2017.04.28 Discover Nippon 稲積清子 & 松永育美

九州のまんなかに位置する熊本県。世界中から愛される人気キャラクター「くまモン」のふるさとであり、日本三名城の「熊本城」、世界最大級のカルデラを誇る「阿蘇」、イルカウォッチングが人気の「天草(あまくさ)」など人気スポットが点在。馬刺し・熊本ラーメン・辛子れんこんなど、ご当地グルメもたくさんあり、言わずと知れた九州を代表する観光地である。

そんな熊本には、全国に誇れる個性的なカフェスポットが数多く存在しているのをご存じだろうか。その中から、美的感度の高い旅人におすすめしたい、選りすぐりカフェ3軒をご紹介しよう。

まずはじめに紹介するのは、熊本の玄関口・阿蘇くまもと空港近くにある「walet(ワレット)」。ここは、メインストリートから外れた裏通りにありながら、行列が絶えない人気筆頭のカフェ。店内にはアンティークの家具が配され、国内外から厳選された雑貨やアクセサリー、洋服など、センスのいいアイテムが所狭し並べられている。かわいいものに目がない女性なら、誰もがきっと虜になってしまう場所なのだ。

そんなきらめきに満ちたカフェが、昨年4月の熊本地震で大きな被害を受けた。母屋は天井が落ちるなど半壊。カフェのある建物は、倒壊こそまぬがれたものの、床のタイルが割れ、棚は倒れ、商品も散乱。そこに拍車をかけるように、震度7の本震が襲い、またしても店内はぐちゃぐちゃに。しばらくは足を踏み入れることができないまま、昨年の6月初旬まで休業が続いたそうだ。

「店を再開することになったときは、半ば強引でしたね」とオーナー夫妻の加藤裕久さんと晶子さん。日常を取り戻したい一心でリスタートしたとき、多くの人が再開を待ち望んでくれていたことを知り、「店をやれるってことが、こんなにも幸せなのかと。以前にも増して、この場所が大切と思えるようになりました」。

地震をきっかけに、ワレットという場所が、加藤さん夫妻だけでなく、スタッフやお客さんにとっても“かけがえのない日常の場所”であると感じた二人は、いま新たな目標に向かって進んでいる。それが、地震後に取り壊しになってしまった母屋部分の改装だ。もっと多くの人が集まる、ワクワクできる場所にしたいと奮闘中。

2004年のオープン当時、手作りジャムと雑貨を販売するだけの小さなお店だった場所が、やがて“隠れ家カフェ”として人気を集めるようになって十数年。この秋に誕生する予定の新スペースは、小さな子どもを連れたママたちが気兼ねなく、ゆっくりと寛げるようなウエイティングスペースになる計画。

こだわりのメニューを味わいながら(写真は、「塩麹で漬けた熟成豚のハムステーキ マスタードタルタル添え」1320円)、心躍る空間で過ごすひと時は、旅の思い出が何層にもふくらむことだろう。

続いて紹介するのは、熊本城のお膝元、城下町にある「長﨑次郎喫茶室」。この建物は、国の有形登録文化財に指定されており、1階が明治時代の1874年に創業した長崎次郎書店、そして2階が今回紹介する喫茶室となっている。熊本大空襲(1945年)でも焼け残ったという建物は、そのうつくしい佇まいも見どころの一つだ。

喫茶室からは、ゴトゴトゴトと爽快な音を立てて走る路面電車の姿も見え、これがまた旅情を誘う。店主の長﨑圭作さんいわく、「ここからの眺め、最高でしょ! もともとこの場所は、書店の事務所や居住スペースとして使われていたところなんです。数年前に書店の代表だった兄が病気になり、1年半ほど店を閉めることになって。この建物をどうするか、話し合いが続きました」。

2014年7月に書店の再開が決まり、10月にあたらしく喫茶室をオープンすることになった理由を、「ここからの景色をたくさんの方に見ていただきたかったから」と長﨑さん。今まで一般客の目には触れることのなかった2階からの眺め。この場所こそ、熊本らしい町並みが見える特等席なのだ。

店内には、日本ではじめて作られたという明治時代のオルガンや、初版の夏目漱石全集などがさりげなく飾られ、森鴎外ら文豪たちも訪れたという建物の中にいるだけで、時間がどこかゆるやかに流れているように感じる。1階でお気に入りの本を見つけ、ゆっくりとカフェタイムを満喫するのがおすすめの過ごし方。

「長﨑次郎喫茶室」では、日本で一番古い紅茶の歴史を持つとされる熊本県山鹿市で栽培された、当時の味を再現した紅茶や、店主自慢のコーヒーをいただくことができる。めまぐるしく移り変わる時代の中、たまには足を止めて、気の向くままカフェ時間を満喫するのも悪くない。

最後に紹介するのは、熊本の県北エリア・玉名郡和水町(なごみまち)にある「KINON cafe&arts(キノン カフェアンドアーツ)」。同町は、2019年NHK大河ドラマ「いだてん」の主人公・日本マラソンの父である金栗四三の生誕の地であり、自然豊かなのどかなエリアだ。

カフェは、古民家を移築復元し、先人たちが築いてきた昔ながら暮らしを後世に伝承している観光スポット「肥後民家村」の中にあり、カフェの建物も築300年を超えているという。店内は、木彫家・上妻利弘氏のギャラリー兼カフェとなっており、藁ぶき屋根が愛らしい佇まいの中、木工作品や輸入物のおしゃれな雑貨などが並び、非日常に満ちていて、どこか新鮮だ。

カフェギャラリーとしての機能を持ちつつ、これまでもスプーン作りなどの木工体験やヨガ、ネイルなどのイベントが定期的に開かれ、交流の場として幅広く利用されてきた。

オープンからこの7月で丸3年。店長が7月末まで海外研修中のため、ランチメニューは一旦お休み中。その間、地元の厳選素材を使った玄米スコーン(写真450円)やクリームブリュレなどのスイーツが看板メニューとなる。

店内にはスタッフが国内外からセレクトした、実際に使ってみて気に入った雑貨や食品がずらりと並び、8月には、スタッフのユニフォームでもあり、人気のイタリア製エプロン「BERTOZZI(ベルトッティ)」の展示会も予定されている。熊本地震を経験し、「今まで当たり前と感じていたものが、当たり前ではないと気付きました。ここにいらっしゃる方の目的は、癒やしや食事などそれぞれですが、大切な時間を過ごしていただける場であるのは、みんなに共通すること。カフェとしての魅力を蓄え、皆さんに足を運んでいただける場でありたいですね」。

今回厳選した3軒のカフェは、美的空間とアイテム、そこで待つ人情味あふれるスタッフと、魅力に事欠かない場所ばかり。熊本でのカフェ巡りの先で、とびきり素敵な出会いを見つけてもらいたい。

<問い合わせ>
walet(ワレット)
住所/熊本県上益城郡益城町杉堂901-58
電話/096-292-2225
URL/http://www.walet.jp/

長﨑次郎喫茶室
住所/熊本県熊本市中央区新町4-1-19 2階
電話/096-354-7973
URL/http://www.jirokissashitsu.com/

KINON cafe&arts(キノン カフェアンドアーツ)
住所/熊本県玉名郡和水町江田302 肥後民家村内(南門入ってすぐ)
電話/0968-57-8484
facebook「KINON cafe&arts」で検索
※6月初旬に2週間ほど、海外仕入れのため休業予定

編集・文/稲積清子 いなづみ せいこ
熊本在住のライター・編集者。熊本の出版社でフリーペーパーや家族向け情報誌の編集長を経験したのち、福岡でブライダル情報誌・子育て情報誌・週刊紙などの制作に関わる。2012年5月より故郷・熊本でフリーランスとして独立。幅広いジャンルの編集に関わりながら、熊本地震以降、復興支援ホームページサイト「いまできること」の執筆に携わり、復興から立ち上がる熊本のいまを全国に向けて発信中。好きな言葉は「日日是好日」。

写真/松永育美 まつなが いくみ
熊本在住のフォトグラファー。デザインの専門学校卒業後、写真事務所を経て、2014年独立。広告、雑誌の撮影から記念写真、家族写真など幅広く活動。ライフワークとして花の写真を撮影し続けている。プライベートでは、昨年、母になり子育て奮闘中。妊娠中に経験した熊本地震で、生きていることの尊さを実感。趣味は旅行と映画。熊本生まれ熊本育ち。熊本が大好き。みんながHAPPYになる写真を撮りたいと願い、活動している。

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